キッチャン |
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BMW |
R1100RT |
総合評価 : 95 点 |
年 式 |
1999 年 |
走行距離 |
14,700 km |
燃 費 |
街乗り |
17 km/リッター |
ツーリング |
20 km/リッター |
長所 |
- 取り回しは大変だが走り出せば国産400ccマルチも真っ青の軽いハンドリングは秀逸。
- 前乗り過重で練習すれば、低速のジムカーナ的な走りも十分こなせる器用な面ももつバランスの良いアライメント。これには驚く。
- 前輪テレレバーの効用は、国産では味わえない感覚。フルブレーキングでもノーズダイブしないので、ホントに思い定めた位置で止まるのか不安になるほどだが、ハンドルがぶれずに確実に急停車できる。まるで自動車だ。このサスとブレーキとの絶妙な組み合わせで危険な目に遭わずに済んできた。
- BMWのイデオロギーが到達した「ツアラー」の保守本流。R1100RTのなかに、BOXERツインのタフさと静粛な鼓動、フューエルインジェクションの高精度、車体各部のクオリティーの高さ、塗装仕上げの美しさ、最上等な風防効果といったBMWが追究してきたあらゆるパートが、どれ欠けることなく密接にバランスしあっている。それゆえに完成されすぎて「つまらないバイク」という勲章をもらっている。
- 近年のR1150RTやR1200RTなどは、コンピュータ制御部分が多すぎて、旧車のように人がいじれる部分が少なくなってきているが、R1100RTにはまだまだライダーが整備を楽しめる部分が多い。
- センタースタンドをかけるときに使う格納式アルミ鋳造ハンドルバーの成形美・強靭性などは、国産バイクでは見たことがない仕上がり。
- 多分、このクラスではツーリングでもっとも疲れないシートのすわり心地のよさを誇るが、R1150RT、R1200RT、K1200GTに乗ってみた人も痛感するところであろう。シートの快適性では右に出るものなし。
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短所 |
- 純正オーディオのスピーカーの音質はいまひとつ。
- クラクションのシングルホーンの音が車両の品格を損ねるほど貧弱。
- ヘッドライトは、現在の水準からすると暗いし、照射範囲が狭すぎる。
- 低速が細いので、1速であっても惰速のついてない始動間際に鋭いジムカーナ的なUターンを決めようと思っても、まずこける。また2速では低速Uターンはやらない方が無難。
- バッテリーの取り換えなどでは、いちいちデカいサイドカウルを傷つけないように丹念に外さないとできないので、電装系のメンテナンスは大変。
- ブレーキに鳴きが入る個体が多いが、複数のディーラーに聞いたところ、これはR1100RTの宿命だといわれた。パッドの角を削ってもアタリがつくまでは鳴きまくる(走行には全く問題なし)。
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故障,トラブル |
- 2500回転以下の低速で街を走り続けたり、8の字練習やフルロック・ターン練習を続けたあとなど、プラグにカーボンが付きやすくなり、5000回転以上で高速走行してカーボンを焼いてやらないと、低速走行中にエンジンストップする。プラグを抜いて電極周りを掃除してやればすぐ走るが…
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- オイル量チェックの丸窓周囲からオイル漏れ→部品交換で完璧に直る
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その他 |
たとえば、カウル外しの作業がめんどうだという欠点は、無敵の風防効果を生む長所でもある訳で、どこに魅力を感じて愛せるかが大切。
ボクサーエンジンは、距離を乗るほどにライダーに喜びを感じさせてくれる。
R1100RTには、時代に翻弄されない成熟と品格が備わっている。おそらく20年経過しても、この称号は不動だろう。 |