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なんよツーリング Report (22)

夢限界R 小 野

田舎のコンビニ

 R441号線で、もうすぐその向こうが西土佐村になろうかという松野町の外れにさしかかった時、道路沿いに小売店と民家がサイドバイサイドで300mほど立ち並ぶ田舎の郊外ストリートになった。

 そこを通り抜ける時、雑貨店の隣に、日石の赤白のGSマークが目に入った。そばに寄って停まると、ポンプ1台だけのとても小さいGSであることが分かった。もちろん、事務所やガレージは無く、従って無人である。以前、この手の民家密着型GSで、休業日にもかかわらず開けてもらい給油してもらった経験があった。このGSも、それが期待できるかも知れない。

 店が2つ立ち並ぶ間にあったので、最初に左の店に行くと、隣の雑貨店が経営していると教えてくれた。すぐに引き返して、雑貨店にガソリンを給油してもらえないかを訊ねると、二つ返事で給油してもらえることになった。「超ラッキー!」と内心小踊りして喜ぶ。他の2人も、ぱっと顔が明るくなったように見えた。

 それぞれのバイクに、渇望していたガソリンを満タンにして一安心する。代金を支払うため、雑貨店の中に入る。都会のコンビニと違って、店内は薄暗い。見れば、商品の並べ方が割りと平面的で、POS(ポス)管理のコンビニとは対照的だ。売れ筋から外れたものも沢山残っていそう。しかし、子供のころに見たような懐かしい雰囲気だった。

 支払ながら、リッター当たり110円のガソリン単価は、いつもなら高いと感じただろうが、これまでの事を思い浮かべると、まだまだ安いと感じる。それに、「GS併設の田舎の雑貨店こそ、究極のコンビニだ!」と思った。


クリア・グリーン

 まだ雨は降っていたが、「ガソリンが満タンだ」ということで、晴々した気持ちで走りだす。

 やがてR381号線は、1.5車線から1車線へと幅を狭めていった。西土佐村から大正町までの区間は、四万十川が大きく蛇行しているため、道幅も広げられないままの1車線の道が続いた。

 この区間、道は川沿いにあるにもかかわらず、四万十川はたまにしか見えない。その代わり、道の両脇の木立がトンネルを作っているような所が何カ所もあり、そこは下から見上げると、枝先の葉の緑が、灰色の空に透き通って見えた。そして、その雫が落ちてきてシールドに当たる。「う〜ん、悪くない」。雨天走行は、これまでたまらなくイヤだったが、「雨も、また楽しからずや」と思えた一瞬であった。

 そんな時、雨に打たれて冷えたのか、自然が呼んで来たので、JR予土線の橋脚の下に停車する。そこには、のり面に苔がびっしりと着いており、この雨に濡れて緑色が一層際立って見えた。


あつよしの町

 清々しい気分で再出発する。出発前に現在地を確認したところ、ここは十和村に入ったばかりの所だった。

 十和村という言葉に、昨年読んだ「四万十川 あつよしの夏(笹山久三/著)」を思い出す。確か、舞台はこの十和村のハズだ。その中に、病弱なあつようし少年が兄と一緒に四万十川に魚を取りに行き、鉄橋からダイブする話があった。時代背景が違うので、さっき停まった比較的新しい橋脚を持った鉄橋ではないハズと思いつつも、これから通る十和の町並に、何か小説の中に出たような所が表れないか、気をつけてみようと思った。

 これまで見てきたような山間の町並の風景が、国道沿いに広がってきた。十和村の町並だ。道路標識の「江崎」の地名に、小説の中にあった地名だと思ったが、瞬間的に通り過ぎる時間に他には何も思い出せなかった。

 当地にもGSは2店ほどあったが、いずれも休業日であった。「松野町で給油でき、本当に良かった」。松野町がダメな時は、ここ十和村のGSを頼りにしていたのだ。
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